本当はポスドク問題の論戦にも参加したいのだが、を読んだ。
ポスドクは甘えている、研究職にこだわりすぎているというような意見が日本では出てくるが、日本の悪習といえるだろう。
博士課程で何年もかけて専門的なことを学んでいるのであるから、専門性を生かした職にこだわるのは自己実現の観点からも当然であろう。
ポスドク問題の終局的解決のためには、ポスドクを自己実現できない職に無理やり就けるという方向は良くない。そうではなく、ポスドクが自己実現できるように、社会の仕組みを変える必要がある。
ポスドクの地位向上のためには、高度な研究がお金になり産業界がポスドクを業績改善のために喉から手が出るほど欲しくなる社会にする必要がある。そのためには、基礎研究に対する特許の保護の強化や、賞の創設などを通じ、高度な研究が企業にお金をもたらしたり、企業の宣伝効果を高めるようにすることが重要となる。
アメリカでは、バイオベンチャー企業等の基本特許が強く保護されており、そのための研究に博士号保持者が優遇されているケースがある。ベンチャー企業のための環境整備が日本でも必要である。
また、日本の企業もノーベル賞受賞者等は大切にするであろう。企業にとって、ノーベル賞受賞者は、宣伝効果、企業イメージの向上効果等が高く、ノーベル賞受賞者を大切にすることが企業の利益になるから、企業も受賞者の待遇を良くすることができる。日本はノーベル財団よりもお金を持っている。日本は賞の創設に熱心になるべきである。
もっとも、アメリカの状況も理想的とはいえない。日本は、アメリカよりももっと強く科学技術立国を推進しなければならないだろう。
なお、アカデミックポストの増大など、企業以外の研究の職場の増大が重要であることはもちろんである。
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