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理工系の人材育成と人命救助

理工系の人材育成の課題を読んだ。

企業から求められる人材が、「とにかく基礎学力がある学生」に変わっているというのは、由々しき事態だと思う。

理系離れが進行してしまうと、優秀な人材が集まらず、基礎学力よりも先を目指すことが難しくなってしまうのではないだろうか。

これは、日本の科学技術立国にとって由々しき事態と思われる。

工学系が減って、医歯薬系が増えている点は、人命救助の観点からは一見よさそうであるが、実際のところはどうなのであろうか。

病院に行くと、お医者さんが診察して薬が出るイメージがあるが、実際には、X線CT、MRI、内視鏡、手術器具など多くの機器や器具等が使われており、理工系の貢献も大きいことが分かる。新薬の開発にも、現在ではコンピュータが用いられている。また、インターネットの発展により医学情報が共有されるなど間接的な貢献もあり、理工系の人命救助への貢献は大きいだろう。

長い期間を考えると、理学の貢献も大きいだろう。もし江戸幕府が続き、医者の意義は認めても、科学の発展の意義を認めなかったら、薬草の調合の仕方や丸薬の作り方は進歩しても、たとえばX線CT、MRIやそれを支える物理学の理論は生まれない。このように、医学の進歩は科学技術全体の進歩と関連している。

理学は自然の真理の探求であり、実用性がなくても価値があるであろうが、長い期間を考えると人命救助にも貢献するだろう。

医者だけではなく、幅広い科学技術分野の人材の地位を向上させることが、長期的には人命救助となるのではないだろうか。

適性のある人が適性のある分野にバランスよく進み、科学技術が全体として発展することが、医学の発展にも結びつき、人命救助になるのではないだろうか。

医師薬系だけではなく、理工学系についても、科学技術による人命救助への貢献について社会により広く情報発信していく必要があるかもしれない。
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