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基礎研究と国家公務員の人件費抑制

ドクター・ポスドク問題その後(6)を読んだ。

ポスドクの状況が克明に語られている。ポスドクの専門性は高いので、十分な働き口を社会が提供しなければ、専門に合致した働き口を見つけるのが難しくなっていく傾向があるのではないだろうか。

国家公務員の人件費抑制という問題と、基礎研究の問題は難しい問題と思われる。基礎研究は、人類の未来のために長期的な視点から行なうものであり、そのときの財政の状況に左右されるべきではないと思う。しかし、国家公務員の人件費抑制の際に、すぐに経済的な成果が出ない基礎研究がリストラの対象となりやすい傾向があるのではないか。

基礎研究の増額をすることが科学技術の発展につながっていく。実際には、国家公務員の人件費抑制の中でも、基礎研究の人件費だけは大幅に増やす必要があるだろう。基礎研究者以外の人はすぐには納得しないかもしれない。それでも、人類の未来のためには基礎研究を重視すべきだという価値観が採れるかどうかが一つのポイントとなろう。

民間が基礎研究の余裕がなくなったのに、国まで基礎研究の人件費を抑制するのでは日本の未来は暗いのではないだろうか。

基礎研究の人件費の増額を主張する人々の数は少ない。草の根の運動で基礎研究の重要性を説き、それ支える人々を増やし、基礎研究にお金を費やすことを納税者が納得するようにする運動が必要であろう。

基礎研究の重要性は、歴史を振り返れば明らかである。

戦前、日本は基礎研究をおろそかにした。欧米の技術を表面的に真似ているが、基礎的な部分が十分でなかった。基礎が十分でないと、表面上はそこそこのレベルに達したように見えても、実際には十分ではない。

さらに長期的な人類の進歩への影響を見れば、江戸時代には農具等の改良は行なわれたが、基礎研究は重視されなかった。江戸時代の文明水準は西洋より低いとは必ずしもいえないが、明らかに基礎研究の点では西洋に遅れていた。

基礎研究を重視することは長い目で見れば極めて重要である。国家公務員の人件費抑制にかかわらず、安定した基礎研究の基盤を作ることが重要であろう。

基礎研究の重要性を多くの人が理解するようにしなければならない。理系の人には基礎研究の重要性を教育の中で強調することが重要であろう。文系の人には、歴史教育の中で、日本が基礎研究を怠ったことによりどれだけのマイナスを蒙ったかを強調していく必要があるだろう。

関連リンク:大「脳」洋航海記
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